話題 :KJ法 再入門 ーフィールドから発見し、構造化するー(2) 実践編
話題提供者:両角+参加者
開催日時:11月05日(火)20:00-21:00
参加者(卒業年度)
鶴本さん(2001)
大塚さん(2002)
足立さん(2003)
両角
■話題の内容、質疑
今回は両角が実施した『親子の学びにおける課題と展望』について、KJ法に基づいて記録し、関係を検討し、まとめたものを報告した。
主なアウトプットは次の通り
・カード(ポストイット)元カード:29枚、グループタイトル:7枚
・図解化(A型)3枚程度
・叙述化(B型)A4 1枚程度
上記プロセスを通して得たKJ法の知見・ポイント
•現場をそのまま捉えることをサポートできる
•即時にカード化することで認知能力の制約を超えられる
•事実の可視化と対象の操作可能性が重要
•複雑さを分割して認知的制約を超える
•手法(カードや一行見出し等)の制約が観察力をアップする
•プロセスを分割し、それぞれの過程に集中すること。
また、必要に応じてプロセスの行き来すること(前に戻る)
•構造化を分離して、多視点で構造を熟慮する
•カードの位置は関係を再認識させるきっかけになる
混沌とした課題に潜む要素や関係を捉えようとするとき、KJ法は有用なツールであると私は感じた。もともと、川喜田二郎氏が未知の社会について文化人類学的な理解をしようとした過程で開発された技術であるので、予断を持たず対象を捉えようとする時に有効であるのは当然と言えば当然だが、すこしでも背景や現象を正しくとらえようとする時にKJ法のツールはプロセスは有効にサポートしてくれる。
デザイン行為においても、日常生活でも役に立つと思う(もちろん、手間はかかるが)。
■質疑
A)子T以外にも、インタービュー等はしたのか
→ 今回は行っていない。
T)慣れた人(プロ)が実施してうまくまとめたような気もするが‥
→ 実施者の経験・能力で当然差が出ると思う。優れた文化人類学者が、優れた報告書・書籍を出す。経験すること・慣れていくことは必要。
O)叙述化(B型)されると、内容を理解しやすい(図解化だけでは、わかりにくい)。
→ 重要なポイントだ。他の人が理解するためには、文脈を与えることは重要で、叙述化までもっていかないともったいない。
■両角感想
KJ法を利用して、子と自分自身を観察した1か月は貴重な体験になった。カードを書くため、なぜそうするのかを『聴かせてもらう』という態度になる。自分の思い込みで考えていたことを、相手(子T)の気持ちを比較的素直に聴くことできた。
デザインでも同じことが起きているのではないか(デザインーの思い込みで現実を解釈する…)。その意味でも、KJ法や文化人類学的な態度は重要だと思う。
また、質疑でのO氏の指摘「叙述化(B型)されると、内容を理解しやすい」もとても重要なことで、図を書いて満足しがちなデザイナーも多いと思うが、実は図だけでは伝わらないものだ(グラレコにも同様の問題を感じる)。