日時:8月23日(水)20:00-21:00
話題提供者:両角
話題:フィンランドで感じたこと・考えたこと
参加者(卒業年度)
足立さん(2003)
敦賀さん(2006 院)
天野さん(2007)
両角
私事ですが、7月23日~8月8日で家族でデンマーク・フィンランド・スウェーデンと北欧を旅してきました。
7月の勉強会に続き、今回の旅からフィンランド・北欧と日本との相違点を考えてみたいと思います。
異なる視点から考えることで、広い意味でのデザイン(人間がつくり出すもの)とは…につながればと思います。
■話題内容
*Facebookの両角の旅の記事を使用して説明しました。「旅の感想」の記事を転載します。
<訪れた場所・体験の印象>
印象の良かったBest3
A)セウラサーリ野外博物館(Helsinki)
B)スオメンリンナ島(Helsinki)
C)ストックホルムへのアーキペラゴarchipelagoクルーズ(Stockholm)
理由:A,Bは生活の身近な環境・施設(ランニングをしたりイベントをしたり勉強をしたり等)として素晴らしかった
Cはその美しさで、後述のD,Eも同じ
天気の良し悪しで左右されてしまったが上位に加えて沢山の体験が上げられる
D)シルバーライン Silverline(Tampere – Hämeenlinna)
E)アウランコ Aulanko(Hämeenlinna)
F)旧フィンレイソン工場再開発(Tampere)
G)ストックホルム市庁舎タワー(Stockholm)
H)LEGO House(Denmark Billund)
HはLEGO社の取り組み姿勢を示しており、LEGOブロックとICT技術を高度に組み合わせて誰でも楽しめるようにしている点がすごいと思う(写真 01, 02)。フィンランド国立博物館の展示なども、同様の工夫を強く感じられた。
培ってきた文化という強いコンテンツを、ICT技術を使うことでさらに魅力的なものにしていく姿勢は、とても参考になる。
<価値観の違い>
1. 公共施設やサービスへの投資
公共施設やサービスへの税金等の投資について友人のKH氏の言っていた、『幸せに生きるために投資するのは当たり前。施設はみんなが活用しているので高価な投資ではない』は、とても大切な考えだと思う。
広い土地と少ない人口にもかかわらず集合住宅・公開空間(私有地だが他人が入ることができる空間)が多いのは、それが全体の生活を豊かにしてくれると考えているから。古くても奇麗なアパート群と多数の公園は、生活空間として本当にうらやましい。
20年前に7カ月住んだ時に感じた文化・価値観の違いを、今回も一段と強く感じることになった。
2. 性善説的な生き方
Helsinki近郊の交通機関HSLやフィンランド国鉄VRのアプリは使いやすくわかりやすいので利用することに抵抗が少ない(私の場合、家族3人分のチケットを私のスマホアプリで購入できるのかわからなくて、最初迷った。その後は順調だった)。
トラムでは、運転手は切符の販売もしなければ確認もしない(20年前は、運転手は切符の販売・確認をしていた)。利用者はちゃんと切符を購入していることを前提として、システムを運用している(バスは、現在も運転手が確認しているが)。ほかの地域で実施できるかどうかはわからないが、フィンランドの人々は性善説でシステムを運用することが効率的・経済的と考えていると思う(不正が見つかった場合の罰金は高い 警告文『penalty fare of 80 euros … 』)。
KH氏が教えてくれた、スマホアプリを利用した路上駐車券も同じ原理だった。
文化・価値観に支えられた効率的なフィンランドの運用システム、日本との相違を考えさせられた。
3. Design for Allの考え方が実生活に生きている
・住宅の改善や公共交通のハードもソフトも使いやすいデザイン(写真03,04,05,06)
・学校(大学の学費無料)や図書館に投資をすることで、長期的な成長につながる(写真 07 , 08,09,10)
こうした社会全体をよくすること(底上げ)に注力することが、多くの人々の日常を幸せにしているように感じる。デザイン(社会システムを含め)の考え方のDesign for Allが根付いているように感じる。
4. 環境問題への取り組み
ホテルや公共交通機関・自動車に見られる環境問題への取り組みは、個人への具体的な情報提供の点で見ても意識的に取り組まれていると感じた(写真11,12)
家族と旅することで、いろいろ経験し感じることができた。
これからどのように生かして生活していくか悩ましい点もあるが、旅と同じで一歩一歩進めていきたいと思う。
旅程に沿った日記は下記の両角のFacebookからご覧いただければと思います。
https://www.facebook.com/kiyotaka.morozumi
■ 両角の感想
旅の内容の説明だけでも1時間近くの時間を取ってしまい、若干の質疑はできたものの、私たちの環境をより幸せの多いものに変える方法や行動についてまで話し合うことはできなかった。
次回9月の勉強会で、自分たちが変化を起こすことの可能性について話し合ってみたいと思う。
■ 記事内容に対応した旅の写真。最後の写真は勉強会の風景。